選手たちは、いつも通りの試合をしてくれた。
中日 02100001X|4 川上/岩瀬 − 谷繁
[二]荒木/[遊]井端/[右]福留/[一]ウッズ/[三]森野/[中]アレックス/[左]井上/[捕]谷繁/[投]川上
初回のダルビッシュには鳥肌が立った。ムチャクチャ凄い。荒木と井端のバットを粉砕し、いや比喩じゃないですよ、ほんとに物理的に折ったんだ。福留見逃し三振。火の玉のようなストレート。アストロ超人みたい。鮮烈というか戦慄のというか、ただただ感動。こりゃ何回やっても打てっこない。ところがそれが負け投手になるんだな。
▼中日は2回裏、谷繁の2点適時打で先制するも、直後に同点とされる。しかしその裏、井上の適時打で勝ち越し。8回にはアレックスの適時打で貴重な1点を追加した。先発川上は徐々に調子を上げ、8回2失点の好投。最後は岩瀬が締め、52年ぶり日本一を狙う中日が先勝した。
▼プロ野球の日本シリーズが21日、ナゴヤドームで開幕し、中日が日本ハムに4—2で降して初戦を制した。中日がシリーズ初戦を勝ったのは1974年以来32年ぶり。中日が川上、日本ハムはダルビッシュと両エースが先発。互いに本調子ではなかったが、粘り強い投球をみせて接戦となった。有効打の数と守りの堅さで勝った中日が競り勝ち、1954年以来52年ぶりの日本一に向けて好スタートを切った。川上はシリーズ通算3勝目。第2戦は22日、ナゴヤドームで行われる。
▼中日が下位打線の活躍と川上の力投で初戦を制した。二回1死満塁から、谷繁の中前2点適時打で先制点。同点とされた三回には井上の左前適時打で再びリードし、八回1死三塁からアレックスの適時二塁打で追加点を奪った。川上は再三走者を出しつつも、要所を抑えて8回を2失点。日本ハムの先発ダルビッシュは力みが目立ち、制球に安定感を欠いた。 落合監督:「四つ勝つための第一歩。選手たちは、いつも通りの試合をしてくれた。(明日以降も)シーズン通りの野球ができたら、うちはあと三つ勝つ」
中日は82年の日本シリーズから初戦は4連敗中と苦手にしていた。先発の川上が力んで本来の安定感ある投球が見られず、ベンチの首脳陣や選手たちの頭の中には、この数字がよぎったことだろう。しかし、それを振り払ったのが、谷繁、井上の両ベテランの打撃だった。先陣を切ったのは谷繁。二回1死満塁、カウント1—2。打席で谷繁は考えた。「ここまでのダルビッシュは変化球でストライクが取れない。四球が許されない場面でスリーボールにはしたくない」。投手の心理を知り尽くしたプロ18年目の35歳は直球一本に絞り、中前にはじき返して先取点をもたらした。
選手会長でプロ17年目の井上は技で勝負した。三回2死二、三塁の好機。内角のカーブで大きな空振りをして追い込まれたが、すぐに頭の中をコンパクトな打撃に切り替えた。外角直球に逆らわず、流し打ちで左前適時打とした。
谷繁は「何とか1点を、という気持ちで打った」、井上は「バットに当てることだけ考えていた」と振り返った。シリーズ前「自然体で臨む」ことに集中していた2人は打席でも冷静さを失わなかった。それが20歳の右腕から貴重な一打を放つ要因になったと言える。
52年ぶりの日本一を狙うチームにとって、谷繁と井上の存在は頼もしい限り。落合監督は表情にこそ出さないが、胸の内ではニヤリとしていることだろう。【田中義郎】
▼過去10年、シリーズ第1戦を落としながら優勝したのは00年の巨人だけ。短期決戦では、それだけ初戦の勝利が意味を持つ。それを踏まえて日本ハム・ヒルマン監督が送り出したのが成長株のダルビッシュ。だが、シリーズ特有の重圧に翻弄された。シーズンとプレーオフを通じて11連勝と勢いを持続して先発した。この日も腕の振りが良く、一回から内角の速球で荒木、井端のバットをへし折り、福留には外角低めの146キロで3球三振。最高の立ち上がりを見せた。20歳の若武者らしく全身から気合があふれていた。
だが、自信に満ちた投球に変化が生じたのは二回だった。先頭のウッズに四球を与え、思わずマウンドを蹴り上げた。平静さを装いながらも、気持ちを抑えきれなかったのは明らか。続く森野に146キロを左中間へ運ばれ、1死後、井上を敬遠して満塁とし、谷繁との勝負にかけた。しかし、最も走っていた内角の速球を中前に痛打され、2点を失った。
同点に追いついた直後の三回も同様だ。1死一塁で森野の目の前に高く跳ね上がったバウンドを捕球しながら、その後が反応できない。一、二塁どちらにも投げられず内野安打とし、結果的に井上の勝ち越し適時打を呼び込む形となった。それでも四回以降は落ち着きを取り戻した。1点リードを許したまま、6回被安打5でマウンドを退いたが、若さが際立つほろ苦いシリーズデビューとなった。【和田崇】
▼第1試合の始球式は、今年野球殿堂入りを果たした元中日監督の高木守道さん(65)が行った。現役時代は名内野手で鳴らした高木さんも「始球式は初めて。勝手が違う」と苦笑いしながら大役を務めた。「4勝1敗で中日が勝つと予想している。頑張ってほしい」と、OBらしく中日にエールを送った。(毎日新聞) - 10月21日21時59分更新
▼落合博満:(第1戦の勝利は大きいのでは)「このシリーズは4つ勝たないと日本一になれない。そのまず一歩目。だからあと6試合で3つ、これを何とか取りに行きます」
(ドラゴンズが初戦を勝ったのは32年ぶりです)「そうなんですか、知りませんでした」
(過去5年間、初戦を勝ったチームは日本一になっています)「それも知りませんでした」「川上を立てて第1戦するわけですから、ゲームの展開からすれば、川上から岩瀬につないだっていう一番いい形でできたと思います」
(川上投手の序盤は見てて心配だったのでは)「いや、心配はしていません。うちのエースですから」
(4回以降は素晴らしいピッチングでした)「自分でもあんまり状態良くないかな、という感じで、途中から投球パターン変えた様なとこもあるしね、丁寧になりましたね。崩れなくなりました」
(2戦目以降どんな戦いを思い描いていらっしゃいますか)「シーズン通りの野球をするしかありません。それが出来たら、うちはあと3つ勝ちます」