球質ヲ論ズ:キレとノビ

"kire" means crisp of pitch, "nobi" means rize of pitch.

kire to nobi:01

ほんとうのところどうなのか

ストレートの値打は速さだけで決まるわけではない。キレ。ノビ。重さ。球威。そーゆうのがあるんだよ。そーゆーことになっている。そう主張する人々を仮に「ある派」と呼ぶとすれば、西暦2007年現在、日本の野球言論界は完全に「ある派」の支配下にある、ように見える。

否、「そう主張する人々」というのは正確ではなく、主張の必要性すら、ふつうは自覚されない。その支配はあまりに圧倒的なので、わざわざ主張するまでもなく自明の前提と思われている。ヘッスラが「もちろん」「明らかに」「当然ながら」「明白に」遅い、と言われるのと似たような具合だ。外国でもそうなのか? 韓国とか、中国とか、台湾とか、アメリカとか、カナダとか、メキシコとか、キューバとか、ドミニカとか、ベネズエラとか、ニカラグアとか、パナマとか、イタリアとか、オランダとか、ギリシャとか、フィリピンとか、オーストラリアなんかにもたぶん「野球言論界」と呼べるようなものがそれぞれの規模でなんとなく存在するんじゃないかと思うが、それらの国ではそれぞれどんなふうに言われているのか、興味がある。興味はあるが、私にはとりあえず日本の状況しかわからない。日本の野球言論界は「ある派」が優勢だが、一方圧倒的少数派ながら「懐疑派」もたしかに存在する。

●『キレって何?』by 稲見純也さん

先日、プロ野球ドラフト会議が行われたが、指名された投手の特徴を論じた評などを少し探してみるだけで、以下のような表現が山のように見つかる。

…140km前後ながらキレと伸びがある速球を…
…各投手によってキレ、伸び、球威、球質、角度など違いがある…
…もう少し速球に球威とキレが出ればエースになれる逸材で…
…バランスのいいフォ−ムで伸びと球威のあるMAX148キロの速球を…

(中略)物理学的に言えば、ボールの運動を論じるとき、そこには「ボールの速度(ベクトル)」、「ボールの回転速度(ベクトル)」の2つのパラメータしかない。たった2つのパラメータの組み合わせで、「スピード」と「伸び」以外に「キレ」だの「球の走り」だの「球威」だの「球質」だのという特性が出てきて、しかもそれら全てが人間の目で判定可能だなんて、はっきり言ってあり得ない。眉唾も良いところだ。
●野球むむむ考/キレと球威と伸び by ねるPさん

野球解説者なるものが、いったいどういう意味でこの「キレ」という言葉を使っているのか、はっきり言って僕には分かりません。まあ、変化球なら、その変化の鋭さを指して言っているのでしょうが、ストレートの場合の「キレ」とは、何をもって言っているのかよく分かりませんし、彼らがその言葉に対応するボールのイメージを明確に持った上で言っているのかどうかも定かではありません。

(中略)僕がもう一つ胡散臭いと感じている言葉に「球威」というのがあります。これを「スピード(球速)」と同義で使う分には何ら問題ないのですが、明らかにそうではない場合があります。テレビの解説者にも、「今日はスピードはそこそこ出てるんですが球威が今一つですねえ。」なんて言ったりする人がいます。(中略)「球威ってなあに?」と聞いたら説明できるのでしょうか?

(中略)「今日はスピードも球威もありますねえ。その上キレもあります。力のこもった球が来てます。」「今日はスピードは出てるんですが、球威とキレが今一つです。スピードの割にはストレートに力が感じられないんですよね。」野球中継でこんな解説に出くわしたら、どんな球か想像してみて下さい。たぶん想像がつかない事でしょう。言ってる本人だって分かっちゃいないと思いますよ。連中は相当いい加減です。(笑)

(中略)キレだろうが球威だろうが伸びだろうが、ある投球に対してどういう表現を使おうが人それぞれ自由だと思います。しかし、その表現の根底には、どういう球を指して言っているのかという明確なイメージが必要だし、それがあれば矛盾する事はなくなるはずです。少なくともそうでなければ「解説」とは言えないと僕は思ったりするわけです。

◆ ◆

私自身はどちらかと言うと懐疑派に属するんだが、ただ、懐疑派の論考はマスコミ批判とか解説者批判に重きを置いたものが多く、個人的にはそこに微妙な不満がある。もちろんマスコミや解説者を批判したい人がマスコミや解説者を批判するのは自由だ。そこに横から勝手な不満を抱くのは的外れかも知れない。それでも勝手を言わせていただくとですねえ、私はまず「ほんとうのところはどうなのか」が知りたい。

ネット上の、或いはスポーツ新聞のドラフト候補下馬評が如何に矛盾に満ちているからといって、あるいは評論家がバカばっかりだからといって、それはキレだのノビだのの存在を否定する論拠にはならない。「進化論を支持する人の中にはコレコレこんなに矛盾に満ちたことを言うヤツがいる」と言ったとしても、進化論の否定にならないのと同じだ。あるいは、「バカバカしいUFO目撃談」をいくら挙げたところでUFOの存在の否定にはならないのと同じだ。「野球解説者の発言はしばしばオカシイ(のではないか)」という話と「キレとかノビとかってほんとにあるのか、あるとしたら物理的にはどういう現象なのか」は独立の問題であり、前者の話題もおもしろいが、私はまず後者に興味がある。ほんとうのところはどうなのか。私は確かに「うはぁ、キレキレだよ今中」とか「まるで糸を引くような真っすぐ」とか思ったことがあるのだ。あなたもあるんじゃないですか。あれらの感覚は妄想なのか。或いは錯覚なのか。錯覚だとしたら、どういう事実がその錯覚を生むのか。(「今中」が何を意味するかわからない人も今後増えていくに違いないので、解説しておきます。ここでの「今中」は「イマナカ」と読み、今中慎二(いまなか しんじ)という名前の投手です)

kire to nobi:02

神々のことば

プロ野球ファンはプロ野球解説者をバカにしがちなものだ。専門家に対する盲信はたしかに危険だが、しかし専門家にはとりあえず敬意を払うべきだと思う。野菜のことなら八百屋。あるいは栽培者。あるいは植物の研究者。不動産のことなら不動産屋。病気のことなら医者。

野球に関する専門家と言えばこれはもうプロ野球選手、およびプロ野球解説者である。プロ野球選手になるのがどんなに大変なことかは語るまでもないだろうが、少し語ってみます。なにしろ非常に長きにわたり男子の「なりたい職業」ナンバーワンの座を占めてきたのがプロ野球選手だ。ほとんどの少年はすぐにその夢をあきらめるが、抜きん出て野球のうまい子供たちは強豪校に集まる。それまではそれぞれ抜きん出て野球のうまい少年だったのに、そういうのばかりが集まった中で見ると、もうみんな並の少年だ。その中であらためて競争してわずかな者だけが二軍で生き残り、さらに一軍に上がり、そのうちさらに段違いのエリートがベンチに入り、その中でとりわけ他を圧する者だけがレギュラーの座を掴み、その中でもとんでもなく抜きん出た一握りの怪物だけが子供のころからの夢を叶える。プロ野球選手になるということはそれだけでひとつの奇跡であり、プロ野球選手の専門性というものは、あらゆる職業の中でも非常に高いのである。宇宙飛行士やF1ドライバーよりは低いのかも知れないが。

それだけでひとつの奇跡ではあるが、野球評論家になるためには全然じゅうぶんではない。まだやっとプロ野球選手になれたというだけだ。全国区の怪物もプロに入った途端チーム最下層の身分となり、たぶん六割か七割は最下層のまま数年後にクビになる。その中で生き残り、上に上がり、戦力になり、さらに主力になり、スター選手になり、さらにそれを数年以上にわたって継続したほんのひと握りの選手だけが、引退後に野球評論家として食って行くことができる。野球評論家というのは怪物を遥かに超えた、もう、なんだ、その、一種の、神とも言うべき、超絶的レベルの専門家である。その専門家の発言が時にいささか過剰に詩的だったとしても、基本的に敬意を払おう。デーブさんやカケフさんがどんなにバカに見えたとしても、断じてただのバカではない。懐疑派の論考には評論家たちを単に「バカ」ってことで片付けているパターンが多く、専門家への敬意が感じられない、ことが多い。とりあえずプロ野球選手たちの発言を、謙虚に聞いてみようではないか。

●速球のキレも出てきた。by 高橋聡文
(一軍は)「充実感もあるけど、すごい疲れている。試合のない日が早くこないか、そればかり考えている。でも嬉しいこともある。変化球のコントロールに自信がついたし、速球のキレも出てきたみたい」(2004/05/05のコメント)

・・・こういうの、オープン戦で投げたピッチャーのコメントにも結構多い。「この時期としてはいい感じで来てます。だんだん真っすぐにキレも出てきた」みたいなの。解説者が言うと「どういう意味か言ってみろ」とか思うこともあるけど、現役で投げてる本人が言うんだから、なにかあるんだろう。ひとりひとり意味が違うのかも知れないが。

●キレもちょっとずつ出てきた。by 樋口龍美
「腕がだいぶ振れてきました。キレもちょっとずつ出てきた」(2005/3/7西武とのオープン戦後の談話)。以下はトーチュウの地の文。「と言う口ぶりにも余裕が出てきた。速球のMAXが140キロまで上がってきた。スリークオーターから、ひじが遅れて出てくる独特のフォーム。140キロでも、打者にはそれ以上の体感スピードになる」
●球速よりもキレと球威。by 川上憲伸
川上憲伸、2004年日本シリーズ直前インタビュー。(今年はキャンプ初日の紅白戦でいきなり147キロを出しました):「最初にそれだけの数字が出たので、スピードガン的にその数字はもういらんだろうと。それよりも本当にキレのある真っすぐを投げようと考えることができたんです」

(目に見える速さではなくて、威力のある真っすぐをということですね):「そうですね。わかりやすく言えば、キャンプ中の147キロは恐らくシーズン中に投げたら誰もがヒットにすることができるボールなんです。通用しない147キロですね。でも、今投げている143キロのボールはシーズンに通用する真っすぐで、そのキャンプ中に投げた147キロよりもはるかに球威もキレもあるボールなんです。計測されるスピードよりもそっちのほうが絶対に大切です」(週間ベースボール:2004/10/25号)
●球威=球速。by 牛島和彦
評論家、牛島和彦氏の見解
人によって指す物が違う(つまり明確な定義がない)と前置きした上で
・ノビ=あまり使わない、キレとほぼ同義
・キレ=初速と終速の差が少なく、球速以上に速く見える球
・球威=単純にスピードの有る無しのこと
(プロ野球@2ch掲示板/「くだらない質問はここで聞け!」テンプレートより)
●長谷川さんの真っすぐにはキレがあった。by 井口資仁
(ホワイトソックスの井口、マリナーズ戦で長谷川滋利と対戦。2005/8/28シアトル、セーフコ・フィールド)「3球目に空振りした真っすぐを狙ってたけど、キレがあった。長年メジャーでやって来られて、あれだけのキレがないと抑えられないのかな、と感じた」(スポーツ報知:2005/8/30)
●一軍レベルのキレを初めて知った。 by 小林正人
2003年秋、一、二軍合同のキャンプで初めて川上、朝倉、平井と並んで投げ、あまりのレベルの差にショックを受けた。「一軍に上がるためにはあれくらいのキレを身につけないといけないという目標が分かった」 (中スポ)
●今まで受けたことのない、すごくスピンの効いた真っすぐ。by 谷繁元信
中里篤史4年ぶりの復活登板の印象を語るキャッチャー谷繁:「中里の球を受けたのは初めてだけど、素晴らしいね。来ると分かっていて、空振りを取れる真っすぐ。オレが今まで受けた誰とも違う、すごくスピンのかかったボールでした」。広島・新井(空振り三振):「球持ちがいい。手元でのノビもある。いいピッチャーですね」。広島・栗原(空振り三振):「手元でピュッと来る。全部真っすぐだったけど、ほとんど振り遅れてしまった」(2005年 10月2日、中日対広島戦)
●キレ、スピード、オーラがありました。by 澤井道久
ルーキー澤井道久、松坂大輔を語る。「さすが日本のエースですよね。キレ、スピード、オーラがありました。ボクの足を見せられたんで、良かったと思います」(2005年 3月7日西武とのオープン戦後の談話)
●プロに入って驚いた。 by 中澤忠厚
プロに入って、打席でのボールのスピード、変化球のキレに驚いた。(週間ベースボール:2004/06/21号)
●バットから伝わってきた。by 福留孝介
北谷球場でのフリー打撃でルーキー金剛弘樹と対戦してのコメント:「重たい真っすぐで、いい回転をしていた。バットから伝わってきた。打者に向かってくる迫力もあるよね」(トーチュウ:2005/02/11)
●ズン!とくる。by 川相昌弘
「岩瀬は日本一のサウスポーですよ。ストレートはズン!とくる。とにかく重い。そして、スライダーは手元にきてグッと伸びる。あれは日本一のスライダーですよ」(2003年12月、二宮清純との対談)
●江川さんの球が軽い、ワケがない。by 水野雄仁
Q:「重い球ってどういうことですか」
A:「重さってのは人によっていろんな意味で使ってるんじゃないか、これこれこういうことかも知れない、また或いは、かくかくしかじかかも知れない。正直なところ僕にはよくわかりません」「江川さんはよく『球質が軽い』と言われていた。実際に被本塁打が多かった。だけど僕はブルペンで並んで投げたこと何度もあるけど、むっちゃくちゃ凄いんですよ江川さんの球って。阿波の金太郎と呼ばれてぶいぶい言わせてた、この僕がですよ、江川さんと並ぶと自分の非力さに絶望しますよ。悲しくなりますよ。ケタ違いの神ですよ。『ズバーンッ!!!!』って、そりゃもう、もんのスゴイ威力ですよ。あの球が『軽い』だなんて言われても、僕にはとてもそうは思えません」(2004年、『週間ベースボール』の連載コーナー「ベースボールゼミナール」より。記憶だけを頼りにnobioが再現)
●フジカワの真直ぐはライジングボールだ。by アレックス・ロドリゲス
WBCで藤川球児と対戦したアレックス・ロドリゲスは「あんなストレートは見たことない。下から上がってくるんだぜ」と興奮気味に語った。(Wikipediaより)
●フジカワの球はインビジブル。by マーク・クルーン
マーク・クルーンは藤川の速球について「彼のストレートはインビジブル(見えない)だ」と語っている。(Wikipediaより)
●揺れて落ちる魔球。by 三浦淳宏
三浦淳宏のフリーキックは回転が少なく、揺れながら落ちると言う。「ナックルシュート」の異名を持つ。ジーコいわく「あんなボールを蹴る選手は世界でも稀だ」
●揺れて落ちる魔球。by 新庄剛志
2000年4月6日ペナントレース開幕第五戦、阪神vsヤクルト@神宮球場。七回裏二死満塁で古田敦也35歳の打球がライナーとなってセンターを襲った。新庄剛志28歳、これを転倒しながら危うく捕球。「打った瞬間シュートして、捕る前にスライダーして、最後にナックルしたから」
●ボールを1cmでも長く持つ。by 山本昌
Q:「どうしたら初速と終速に差がないピッチャーになれますか」。昌:「ボクはボールをなるべく長く持つことが重要だと考えています。18.44mの距離を1cmでも短く使えれば、初速と終速の差は少なくなると思いますよ。手の振りが一番早いところで、つまり早くボールを離してしまうと、逆に差が大きくなってしまいます」(山本昌公式HPのQ&Aより)
●きれいな回転を。by 山本昌
Q:「高校で野球をやっているんですが、『ボールが指にかかる』というのがなく、直線的に球がいかず手元で落ちてしまいます。何か解決する方法がありませんか?」
昌兄:「おそらくボールの回転がよくないんでしょうね。プロ野球で早いボールを投げる投手でも、回転が悪いとスライダー回転やシュート回転で落ちたりします。握り方はしっかりできていますか? 指先をきっちり縫い目にかけ、縫い目の丸い側を外側(薬指側)にしていますか? 参考までにボクは、寝転がって天井に向かってボールを投げ、きれいな回転をするような練習をしていました。(山本昌公式HPのQ&Aより)
●by 掛布雅之
「テレビ中継で表示されている速度は、初速ですが、この初速と終速、つまりバッターの手元でのスピードの差が少ない球をキレのいい球と言っています」(kakefu.com、「2000年12月20日に届いた掛布雅之からお返事」)
●by 長嶋茂雄
「キレのある球ですか? うーん。ピュッとくる感じですねえ。ええ」
kire to nobi:03

バックスピン

球威のない147キロよりも球威のある143キロだ、と川上憲伸は言い、イヤ、球威とは単に球速のことだと牛島和彦は言う。「まったく彼らの発言は矛盾だらけだ」と言いたくなるところかも知れないが、謙虚に行こう。個人的な印象では、例えば井口が長谷川の真っすぐのキレに感動したり、小林が川上憲伸や朝倉健太のキレにショックを受けたりしてるのを見ると、どうも「その言葉に対応するボールのイメージを明確に持った上で言っている」らしいと、思わざるを得ない。

◆ ◆

発射された球が次第に減速するのは、主に空気抵抗による。空気抵抗と聞くと、球の前に空気の壁が立ち塞がるようなイメージが浮かぶが、じつは「球の後ろに乱流が出来て球を引っ張る」という要素が大きいらしい。回転速度が大きいとその乱流が小さく、つまり空気抵抗が小さく、つまり空気抵抗による減速が小さいらしい。クルマのカタチなんか決めるにも後方乱気流の抑制が大きなテーマである、とか聞くので、なんとなくありそうなことに思える。フォークボールのコンピュータ解析で有名な姫野龍太郎さんはこう述べている。

●at home こだわりアカデミー/物理/『変化球の謎に迫る』

ボールが回転すると、ボールの後ろに空気の渦のようなものができるのですが、この渦は回転が遅ければ広くなり、上下に大きく変動します。そのためボールの空気抵抗が大きくなり、後ろに引き戻されるような格好になって、ブレーキがかかって落ちるのです。

ひめの・りゅうたろう。日産自動車で車の空気力学的特性を研究、その後フォークボールのコンピュータ・シミュレーションの研究を機に理化学研究所に転職。工学博士。コンピュータ・ビジュアリゼーション・コンテスト最優秀賞、日本流れの可視化学会・映像展芸術賞、日本機械学会・学会賞および計算力学部門業績賞など受賞多数。著書に『魔球をつくる』(2000年、岩波書店)、共著に『魔球の正体』(2001年、ベースボールマガジン社)。専門家だ。敬意を払うぞ。

強い回転を与えられた速球は、空気の後方乱流が小さく、要するに空気抵抗が小さく、したがって初速と終速の差が小さくなる。したがって体感上速く、「素早くピュッとくる感じ」で、打ちにくいだろう。たぶん。

ロバート・アデア著『ベースボールの物理学』の第二章にも球速と空気抵抗の関係をめぐる解説があり、私の理解では若干姫野説と矛盾しているような気がする。しかし、たぶん姫野氏は『ベースボールの物理学』を読んでいるだろうし、それは踏まえての姫野説だろう、と勝手に想像し、気にしないことにする。

それと、ここで姫野氏が述べているのは、「フォークぐらいに回転が少ないと空気抵抗が大きくなる」ということだけだ。フォークより通常の真直ぐの方が空気抵抗が小さいからと言って、「通常の真直ぐより超高速回転の真っすぐの方が空気抵抗が小さい」「回転が多ければ多いほど必ず空気抵抗が小さい」と言えるかどうかは別の話だ。超音速ジェット機には極端に大きな空気抵抗がかかるらしい。球の回転だってたぶん、ある限度を超えれば抵抗は再び増加に転じるんじゃなかろうか。人間に超えられる限度かどうかはわからないけど。

◆ ◆

そういうわけで、回転が空気抵抗を減らす可能性はあるが、回転が多ければ多いほどそうなのかどうかはわからない。ただ、強い回転の効果はもうひとつあり、それは「曲がる」ということだ。強い回転が横方向なら、球は「横に」曲がる。英語で言うと「breaking ball」。

●ところで、「ブレーキが効いたボール」について

私はごく最近まで「ブレーキが効いたカーブ」とか「breaking ball」とかいう場合の「break」とは車を止めるブレーキのことだと思い込んでいたが、どうも、とんでもない間違いだったらしい。

「break」は「状態が急に変化する」こと。急に減速するのも急に方向転換するのも break だが、急に加速するのも breakだ。芸能人なり商品なりが急に売れるのを「ブレークする」とか、画期的な発見を「ブレイクスルー」とか言う。「止める」ではない。一方、車のブレーキペダルや「清原大ブレーキ」のブレーキは「brake」。発音は同じだが別の語だ。

「ブレーキが効いたボール」という表現を、間違いとは言わない。ただ、(日本語では「brake」はブレーキ、「break」はブレイクまたはブレークと読むのがほぼ慣例になっており、この慣例に従うならば)「breaking ball」を「ブレーキが効いたボール」と訳すのは間違いだ。強いて直訳するなら「ブレイクするボール」とでも言うのが正しい。「強いて直訳」せずに普通に訳すなら「変化球」。一方、「brakeが効いたボール」というような表現は英語圏には存在しない。英語圏にある言い回しは正しくて英語圏になければ間違い、とはならないが、メジャーリーグ中継でアナウンサーが「Oh! That's a breaking ball !!」とか言うイメージで「ブレーキが効いたボール」という言葉を使うのは恥ずかしい。

ただしかし、クンッとタテに落ちるカーブをバックネットからの視点で見ると実際に「brakeをかけたように」感じるので、「breaking ball」ならぬ「braking ball」という表現もアリじゃないか、と思わないでもないが、アメリカ人はそんなふうには思わないんだろうか。たぶん思わないんだろう。だって「変化球」を意味する英語が「breaking ball」なんだから。より正確なことをご存じの方はメールで教えてください。


とにかく、横回転の球は「横に」曲がる。同じ原理で、垂直な逆回転の真直ぐは「上に」曲がろうとする。いわゆる「ホップ」だ。

何故変化球は曲がるのか。ドッジボールでも卓球でもサッカーでもボーリングでもビリヤードでも、横回転を与えた球が横に曲がるのはみなさん体感としてご存じでしょう。そこには空気のチカラが作用しており、真空中ではカーブは曲がらない(ボーリングやビリヤードは違うと思うが)。このチカラはマグナス力とかマグナス効果とか呼ばれる。マグナス(あるいはマグヌス)というのは人の名前。英語では「Magnus effect」とか「Magnus force」とか言う。

回転する球体に生まれる横方向の力について初めて述べたのは、ドイツの物理学者であるグスタフ・マグナス(Gustav Magnus)が1852年に行なった研究であると言われている。当時のマグナスは回転する砲弾や弾丸の弾道について研究をしていたが、その原理は他の回転する物体にも適用可能なものであり、発見者の名前をとってマグナス効果(Magnus effect)と呼ばれ、広く知られるようになったのである。

だそうです。それで、何故曲がるのかだが、えーと、それはですね、、、→▼more...

『ベースボールの物理学』のp.19 にマグナス力の説明がある。

A:

右投げ投手が、時速112キロのスピードで、カーブを投げるとしよう。この結果、ピッチャーからホームプレートへ約18.3メートル進む間に、ボールは反時計回りに(上から見て)17回、回転する(中略)。このときサード側のスピードは時速約131キロだが、ファースト側のスピードは時速93キロにすぎない。(中略)空気抵抗はスピードが上がると増加する。すなわち、動いているボールの前面にかかる空気圧の差は、後の面にかかる空気圧の差より大きく、圧力差はスピードが上がると増大する。こうして、空気中をより速く走るサード側の方が、ゆっくり走るファースト側よりも、空気圧が大きいと予想される。そこでボールはファースト方向に曲がることになろう。

赤字部分は意味がわからない。もしかすると「前面」というのは実は「前者」すなわちサード側、「後の面」は「後者」すなわちファースト側を指しているのを誤訳してるんじゃなかろうか(想像)。別の本、『ベース「ボール」の科学』(1993年/RGワッツ、ATベイヒル共著/大路通雄訳/サイエンス社/\2,678)のp.37にはこうある(アデアの解説と揃えるために左右を逆にした)。

B:

(上から見て反時計回りに回転する球形の砲弾は左へ曲がる。ロビンズとマグヌスはこれを次のように説明した)回転するマスケット弾は、弾から見ると、空気中を飛ぶために生じる直線的な気流に加えて、その周りに渦巻きをつくり出す。この渦巻き内に循環する流れを重ねると、弾を過ぎる気流は右側では減速して遅く、左側では増速して速い。ところで、18世紀のスイスの数学者ダニエル・ベルヌーイの理論によると、流体の速さが増せば圧力は低くなる。したがって、空気の流速が遅い右側では左側よりも圧力が高まり、これにともなう圧力(および力)のインバランスによって弾丸は左方向に横滑りする、というのである。

両者は一見逆のことを言ってるように思える。投球が上から見て反時計回りに回転している場合、

A:三塁側の方が速い。つまり「球の表面」と「空気」の相対速度が速い。自転車やジェットコースタに乗れば誰もが経験するように、速い方が空気抵抗は大きい。だから一塁側に押される。
B:一塁側の方が速い。つまり「球の重心」と「空気」の相対速度が速い。ベルヌーイの定理により、速い方が圧力は低くなる。だから一塁側に押される。

と。

逆に見えるので、どっちが正しいのか長いこと悩んだが、いまのところの私の理解ではこうだ。三塁側では「球の表面」と「空気」が激しくぶつかる。そのため「球の重心」と「空気」の相対速度は遅くなる。つまり、球の表面が気流を押し戻すようなイメージ。一塁側では空気の流れがなめらかで、「球の重心」と「空気」の相対速度は速い。ベルヌーイの定理により、速くてなめらかな側に押される。

◆ ◆

(上に戻って『more...』をもう一度押すと、この部分を閉じられます)戻る

・・・・・・・・・◆ ◆・・・・・・・・・

と、まあそういう具合で、私は理解できてません。すまん。ちなみにアデアは、ある「著名な物理学者」のこういう発言を紹介している(p32)。

私が非常に興味を抱いている未解決問題がふたつあります。ひとつは統一場理論です。今ひとつはなぜボールがカーブするのか? ということです。思うのですが、私が生きている間に最初の問題は解決されるかも知れませんが、二番目の問題は絶望的でしょう。

そうですか。「Surely You're Joking, Mr.Feynman」という匂いがするけど、どうなんだろ。飛行機の翼に働く揚力の原因についても、いまだに定説がないらしい。というか、いまだに定説がないという見方もあるらしい。(飛行機が飛ぶわけ飛行機はなぜ飛ぶか) 人類は月まで行ってるというのに、飛行機が飛ぶ理由さえわかってないのか。

ちなみに、2ちゃんねるの「航空&船舶」掲示板でこういうスレッド→「ベルヌーイの定理じゃないだろ!」をみつけた。どうもパイロットまたはパイロットのタマゴのみなさんが集う掲示板らしい。門外漢にはちんぷんかんぷんだが、とにかく「それほど簡単な問題ではないらしい」ことは伝わってくる。アデアはこうも述べている。

カーブを支配する複雑な過程についての、私の単純なニュートン流の説明は、真理をすべて含んでいるとは限らない。だがその説明は役に立つし、ボールのスピードが時速120km以下のときには、たしかに適度に正確なのだ。より速いボールに対しては満足の行く測定結果がないので、(中略)確実性が低くならざるを得ない。

ついでに言うが、(中略)マグナス効果は、ベルヌーイ効果と同じものではない。それはベルヌーイ効果以上であり、ちゃんとマグナス効果と呼ばれる理由が、そこにあるのだ。

『魔球をつくる』(2000年/姫野龍太郎著/岩波書店/\1,200)によると、カーブは本当に曲がっているのか、それとも目の錯覚か、という論争は1953年まで絶えなかったという。これもちょっと驚きだ。ほんとうなのか。ゴルフやバレーボールやサッカーやドッジボールや卓球やボーリングやビリヤードなんかでは、肉眼でも論争の余地なくカーブは曲がると思うけど、アメリカには1953年に、バレーボールもドッジボールも存在しなかったのか?

まあ原理はともかく、我々がよく知っている通り、現に飛行機は飛ぶし、横回転を与えられた球は横に曲がる。

同じ原理で、垂直なバックスピンのかかった球は縦に(上に)曲がる。みなさんテレビの映像で、うはッ!!今のスライダー、オニのように曲がったッ!! とか思ったことあるでしょう。岩瀬とか。伊藤智仁とか。いい時の山井大介とか。曲がるスライダーというのは本当にフッと、ヒュンッと、キュルンッと曲がるように見える。垂直なバックスピンの効いた球は「アレが上向きに曲がるのだ」と考えれば、そりゃスゲーわ、と実感できる。イヤ実感ではなく想像だが。

◆ ◆

ただし、スライダーとの違いが二点ある。

中里一軍復活登板▼第一に、曲がる方向が「重力と反対方向」である。現実に人間の投げる球の場合、マグナス力は重力を上回るほどの力はなく、したがって「直線に比べて」ホップすることはあり得ないらしい。

「直線に比べてホップすることはあり得ない」とかいくら言われても、実感として納得いかない、という人は多いだろう。例えば私のオジは社会人時代の山口高志(松下電器からその後阪急入りした伝説の怪物。後に阪神の投手コーチとして藤川球児を覚醒させた男としても有名)のピッチングを偶然生で見たことがあるんだそうで、「ホップしない? 何言ってるんだ、山口の真直ぐは地面に向けて叩き付けるように投げたのがひゅんっと身を翻してズバーンッとキャッチャーミットに収まるんだぞ、信じられんよアレは、アレを見てない学者さんに何を言われてもなあ」と繰り返し語る。私自身「どう見ても今のはホップした」とテレビの前で思ったことは何度もある。藤川球児とか中里篤史とか。まあ私や私のオジなどド素人の意見なんかどうでもいいんだが、プロもしばしば「ホップ」を実感として語るじゃないか。画像は2005年10月1日 @ ナゴヤドームで中里を見て、自分が起用したくせに涙ぐむいい人落合博満と、どう見てもホップしてるよな、な、こう、ヒュッとな、とマジに語る森繁和。

『ベースボールの物理学』によると(この本の書き方は私にはまことにわかりにくいのだが、私の理解では)、時速(文脈から判断するとたぶん終速)145kmの速球は、リリースの瞬間からミットに収まるまでに、

・マグナス効果なしだと91センチ落下する。
・強烈なバックスピンはマグナス効果による15センチの「ホップ」を生む

のだそうだ。だとすれば差し引き76センチ落ちるということになる。え、そんなに山なりなのか、と思うでしょう。しかし、投球の軌跡のピークは、リリースポイントとミットを結んだ直線から「わずか20センチぐらい上のところ」にある、とも書いてある。(p.54)(これが時速何キロで毎秒何回転の球の話なのかはっきり書いてないんだが、文脈から判断するとたぶん終速145キロで毎秒27回転の投球を想定して計算した数字だと思われる)

「76センチ落ちるのに直線から20センチしか離れていない」というのは一見わかりにくいが、要するに下図のAが76センチでBが20センチ、ということだ(話を単純にするため、この図はピッチャーが球をリリースする瞬間の射出角がちょうど水平方向であるような場合を表現している)。

76センチ落ちるのに直線から20センチしか離れていない軌跡

この図は説明のため、比率をおおげさにしてある。改めて正確な比例で描いてみよう。通常ピッチャーはプレートよりかなりキャッチャー寄りで球を離す。リリースポイントとミットを結ぶ直線の長さを17メートルだとしよう。距離17メートルあたり20センチの高さの軌跡というのは、10センチあたりに換算すると高さ1.17647ミリだ。

●1700cm:20cm = 340ピクセル:4ピクセル
距離17メートルで高さ20センチの山なりの曲線

清原空振りごらんの通りかすかに山なりだが、ごらんの通りほぼ真直ぐとも言える。ほぼ真直ぐ、ほぼ最短距離を飛んで来るわけだ。左は怪我をする前、中里篤史一軍デビュー戦(2001年9月16日@ナゴヤドーム)での伝説の「ホップする」真直ぐと、それを空振りする番長清原。これを見る限りたしかに球道は私のロマンを裏切り、かすかに山なりの軌跡を描いている。このとき中里は19歳と4日、キャッチャーは中村武志。

どんな快速投手のキレキレバックスピンストレートでも、直線に比べてホップすることなどあり得ない(それどころかわずかとはいえ山なり)、としたら、どうしてプロの優れた打者やコーチや目利きの実況アナウンサーなんかが口々に「ホップする」なんて言うのだろうか。標準的な放物線に比べればホップしているからだ。

モノが投げられた時の放物線の軌跡は子供の頃からの様々な体験によって非常に強固に刷り込まれており、知らず知らずにそれを「真直ぐ」と認識している。そのため、無重力空間でキャッチボールをするのはむずかしい。あいまいな記憶だが、スペースシャトルに乗った宇宙飛行士の誰かがたしかそう語っていた。投げる方はどうしても目標より「上」をめがけて投げてしまうし、受ける方は、例えば目の前にひょいとトスされたペンをキャッチするのに、ついつい放物線を予想して「下」に手を出してしまう。無重力空間には上も下もないのに。バッターが、投球の描く標準的な放物線を心理的に「真直ぐ」と認識しているとすれば、たとえ「客観的直線」に比べればホップしていないとしても、実感としては本当にフッと、ヒュンッと、キュルンッとホップするように感じるだろう。現に私たちもそう感じるわけだし。

それでも「いいや、間違いなく直線よりもホップするって」と主張する人は必ずいるだろうが、この清原空振り動画みたいな真横からのアングルで、現に球の軌道が上向きに反っているような映像は、ベースボール研究史上、いまだ発見されていない。たぶん将来も発見されないだろう。ちなみにアデアは、「ホップする(ちょっと浮き上がる)速球」という章で「ホップはするが浮き上がりはしない」みたいな言い方をしている。「浮き上がる」の原文が何なのかはわからない。「(ちょっと浮き上がる)」というのが原著にある表現なのか、訳者が気を効かせてつけた「ホップ」の説明なのか、それもわからない。ちなみに姫野氏は、標準的な放物線にいちばん近いのはフォークボール、だからフォークこそが直球で、バックスピンの効いた速球は上に曲がる変化球だ、と述べている。

▼第二に、プロのふつうの真直ぐにはもともとふつうにバックスピンがかかっていて、そのぶんは「ホップ」している。宇宙飛行士が思い描く「真直ぐ」は「標準的な放物線」だろうが、プロ野球において打者が心理的に「真直ぐ」と認識しているのは「ちょっとホップする」軌道だ。凄く曲がるスライダーの場合は「全くスライド回転しない球」と比べるから変化が鮮やかだが、凄くホップする真直ぐの場合、比べる相手は「ちょっとホップする真直ぐ」なのである。だから、よほど並外れたバックスピンでないと、おおっ、ホップした、とは感じないかも知れない。

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なんだかピュッとくる感じで、胸元でクンッと伸びてくる球。「キレがある真っすぐ」とか「手元でノビる」とか言いたくなっても不思議はない。また、そういう「イイ球」 が存在するとすれば、まさにピッチャーの「強力な武器」なわけで、したがって「威力のある球」とも言えるだろう。そう考えると、川上さんの発言と牛島さんの発言は別に対立してないような気もしてくる。以上、おしまい。

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じゃあ、「キレ」と「ノビ」は同じ意味なんだろうか。牛島和彦はこう語る。「うーん、ノビっていうのはあんま使いませんねえ。キレと同じような意味ちゃいますのん? キレっていうのは、初速と終速の差が少なく、球速以上に速く見える球のことですわ」

たしかに「まだキレがいまいち」とか「この三年間で、速球にキレが出て来た」とか「もともとキレで勝負するタイプなんで」とかピッチャーが語るのはしょっちゅう目にするけど、「僕はノビには自信あります」なんてのは聞いたことがない。日本人のピッチャーが「キレ」を自明のように語るのは、リリースの瞬間に球を指先でピッと「切る」身体感覚と、日本語の上で結び付いているからだ、たぶん。それに対してノビという言葉はバッターが使う。「だれそれの真っすぐは、胸元でピュッとこう、ノビて来るんですよ」とかいうふうに。つまり「キレのいい球はバッターから見るとノビて来るようにも感じる」ということか。

そうも考えられるが、こうも考えられる。垂直なバックスピンのもたらすものは空気抵抗の低減(ピュッとくる)と、マグナス効果によるホップ(クンッと伸びる)。前者がキレ、後者がノビ、と。英語で言うとこうだ。"Kire" means crisp (あるいは sharpness) of pitch, "nobi" means rize (あるいは hop) of pitch.

たまに、懐疑派の論考に、「変化球のキレというのは曲がりの鋭さのことだと解釈できるが、真直ぐのキレとはなんのことだろうか」みたいな記述がある。しかし、「回転によって空気抵抗が減るために初速と終速の差が小さい/初速から予測する速度よりもピュッと来る」のがキレ、マグナス効果によるホップがノビ、と考えると、変化球のキレも真直ぐのキレも統一的に解釈できることになり、同時に、変化球の「キレ」と変化球の「曲がりの量」は、相互に関連はあるにしても別の概念だということになる。基本的に、キレは空気抵抗の低減によるもので、曲がりはマグナス効果によるものだ、というふうに。

ちなみに「crisp」というのは「パリッとした食感」「シャクシャクした食感」という意味でよく聞く語だが、ボクシングなんかで「彼のパンチはクリスピーだ」みたいに使うらしい。「sharp」については、例えばこんな記事がある。私は「Orange Country's news source」というサイトでこれを見つけたが、トーチュウによると元はAP通信らしい。

●大輔はvery sharp

"He's as advertised," Farrell said. "He really is."
ファレルコーチは言った。ヤツはまさに評判通りだ。
Matsuzaka threw batting practice for the first time with Boston on Saturday and was very sharp. Josh Beckett and Curt Schilling took the mound before him, but they might as well have been anonymous rookies. Everyone was waiting for Matsuzaka.(Orange Country's news source | Sunday, February 25, 2007)
土曜日、松坂はレッドソックスに来て初めて打者を相手に投げ、ベリー・シャープだった。松坂より前にベケットもシリングも投げたのに、まるでふたりとも無名の新人のようだった。誰もが松坂を待っていた。

sharp。英辞郎には「鋭い/尖った/切れ味がいい/くっきりした/頭の切れる/鋭い/メリハリのある」等とある。松坂の動きがシャープだと言いたいのか、投げる球がシャープだという意味なのか、これだけでは判断つかないが。



いい回転、ジャイロ、球威